2012年 03月 14日
青サギ子育て日記 ニュ-バ-ジョン
プロロ-グ
時間は万人に共通の贈り物でありながら、貯金もできなければ前借りもでき
ない。正に一期一会。余命に限りが見えてきたこの年になると今この時間を
いかに有意義に過ごすのかが生活の鍵となる。
若いときからの趣味登山で終期高齢者の部類に入っても足腰はまだ使えそう。
自宅から歩いて10分(約1km)程に愛知池がある。日の出に合わせて一周
(7.4km)ウオ-キングするのが日課である。家からだと約9kmになる。「満足」
「不足」「足りない」「足りる」などすべて「足」の字が入っている。適度の汗をかき
風呂で汗を流す足腰を鍛えるウオ-キングは健康管理に最高のプログラムと
いえよう。基本は「足」だ!。
たまたま1011年3月下旬ウオ-キング中に愛知池で抱卵している青サギの
営巣を見つけた。遊歩道から約30mの水面に茂みに囲まれた巣があり外敵から身
を守る生活の知恵が働いている。よほど注意しないと気つかない。
以下3月から6月の巣立ちまでのプロセスを青サギになったつもりで観察記録
にコメントそ添えて紹介しよう。シャッタ-チャンスは何時訪れるかわからない。
プロ写真家もこんな気持ちで待つのだろうか?2時間以上も待つこともしばしば。
それでも雛たちの生育動勢を観察していると時間を忘れて退屈しない。こんな楽
しみ方もあるものだ。3脚が使えないので1脚手持ちで望遠レンズ主体の撮影。
写真の出来は別として手作り第1作のブログである。
12月 朝焼けの愛知池
天候条件によっては水面が真っ赤に染まる時もある。

4/4 新緑ウオ-キング
愛知池は新緑の頃が一番美しい。ウグイス・コジュケイなどのさえずりを聞きながら
自分のペ-スでジョギング・ウオ-キングは至福の時間ともいえよう。

4/6 新緑に遊ぶ鴨

3/24 萌の調べ
カイツブリも朝の運動をかねて餌探し

3/25 青サギの巣全景
抱卵して何日目かしら?観察はこの日から始まる。巣作りは何時頃から始めたのだろう。
水面からやく1mの所に目立たぬように造ってある。

4/2 抱卵1
抱卵中の母親の思いは?鳥にも胎教というのははあるのかな?

4/4 警戒心
抱卵時期の頃は非常に神経質。警戒心が強くチョットした変化にも立ち上がり四方に
気を配る。じゃまをしてはいけないので2~3分で立ち去るようにした。

4/4 威嚇
異変に気がつくと睨み付ける。遠くから望遠で驚かせないようにレンズを向ける。
「ゴメンネ・・・」

4/28 抱卵2
抱卵は続いている。自分の餌どうしているのか?父親の姿は見たこともない。
あるいはメス・オスの区別が私が知らないのか?目の鋭さが違う。ひょっとして雛が
誕生しているのではないか?気配を感じても立ち上がろうとしない。一点を見つめて
微動だにしない。

5/14 ご飯だよ-
様子が一変!!ご無沙汰していたうちに雛が誕生していた。小さくて観察していても
気がつかなかったのかもしれない。やはり5月上旬には孵化していたのであろう。
母親はせっせと餌を運んでいる。右下隅に誕生した雛が見える。3羽とも無事誕生した。
「ご飯だよ--今日はカエルのご馳走だよ--」 母性愛

5/20 雛誕生
はっきり雛の様子がとらえられた。雛の目は愛くるしいと思っていたが意外にも目は
鋭い。野生の感じが早くも出ている。

5/20 ママの一休み
餌をやり終えたママは一休み。茂みに囲まれた巣は安全な環境、餌探し、餌やりに疲れyた
ママは小枝に留まり一眠り。

5/24 生育格差
雛は順調に育っている。しかし優勢劣敗、雛の中でも育ち具合ではっきり格差がでている。
強者の順からA君>B君>C君弱者と名付けよう。誕生日が違うのか、見るからに弱々しい
C君がうまく育つか心配だ。

5/24 はい ポ-ズ
水面に映り込みの投影が美しい。ここでもへたり込んでいるC君は蚊帳の外。仲間はずれ。

5/25 幸せ家族
それでも母の慈愛に見守られて雛は育っていく。なんともほほえましい。人間社会の
子供虐待の記事を見るにつけ青サギ一家の子育てを見習いたい。幸せ家族の雰囲気が
伝わってくる。

5/25 午睡 お休みタイム
「さあ-昼寝の時間だよ・・早く寝なさい!ママは眠くなっちゃった」 外敵から襲われる
心配もなく安全・安心午睡の時間。 青サギ一家のお休みタイム ゆっくりお休み・・
平和な時間が音もなく過ぎていく・・・

5/25 雛3態
A君、B君は盛んに巣の中を動き回っている。それにひきかえC君の発育が目立って
遅い。心配だ・・A君、B君から苛められていなければいいが・・・

5/30 獲物は何だ?
A君がトサカを立てて何かを見つめている。昆虫でも見つけたのか?C君は相変わらず
座りこみ。元気をだせ!!と声をかけたくなる。

5/31 おたけび
3羽の雛が一斉に立ち上がりトサカを立てて叫び始めました。いつもへたり込んでいた
C君もあらん限りの声で叫んでいます。

5/31 渇望
空腹の雛たちと母親のやりとりが聞こえてきます。
「遅いじゃないの・・・お腹ペコペコ!!」
「お待ちどうさま・・・ 今あげるからね・・・」
育ち盛りの雛に餌やりは大変です。人間社会のように政府からの子供手当、生活保護
などありません。巣立ちまで自己責任をもたなくちゃ-・・。 父親・母親交互に餌運びを
している鳥もあるのに青サギ社会はどうなのか?父親は協力してくれるのか、くれないのか?
いつも同じ青サギで父親らしきサギは見あたりません。このあたりの情報ご存じの方は教え
てください。

5/31 餌の争奪戦
餌の争奪戦が始まりました。なんといっても強いもの勝ち、生存競争は厳しい。
可哀想にC君は餌にありつけません。非常な社会、これが現実です。企業の生き残り
も然り。野生動物の生態をテレビなどで見ますが生きるためには・・・やむを得ないですね。

5/31 訴求
餌の争奪戦に負けたC君が母親に哀願して訴えています。
「ボクの分は?ボクまだもらってないよ!!・・・」
腹一杯食べたA君、B君は「オレ知るかい」 我関せずと素知らぬ顔。思わず
笑っちゃった。私も子供の時こんなことあったっけ。

5/31 内輪もめ
B君がA君にくってかかります
「A君よ だいたい君は食い過ぎるよ!!”C君がもらえなくて可哀想じゃないか」
A君 「なんだと!文句あるか これが生存競争の掟だ よく覚えておけ」
C君 「まあまあ喧嘩しないで・・」
母親は 「困った子たちだね-わしゃ知らないよ」 とそっぽ向く。

6/3 朝礼訓示
母親は朝礼で訓示します。
「餌の取り合いは厳禁します。みんなに公平にあげるから順番を守って争奪戦は
やらないこと。!わかった!・・」 青サギ一家の食事配分ル-ルが決まりました。

6/3 ボクが先
母親の訓示が効いて順番に餌を貰うことになりましたが、空腹のA君、B君はトサカを
立ててボクが先と口論。C君は「残り物に福」と口論には加わりません。

6/3 順番
話し合いがついて順番に餌を貰っています。一番札を引いたのはB君でした。C君も
これからは争うことなく間違いなく餌にありつけそうです。人間社会にも共通していえる
ことです。お互いに譲り合って協力すること 青サギ一家に教えられました。

6/6 巣立ち訓告
母親が戻ってきました。雛たちは待ってましたとおおはしゃぎ。

6/6 巣立ち警告
ところが母親は着地するなり、おとなしく順番待ちしていた雛たちには目もくれず餌を与えず
飛び去ります。クルリと環を描いてどこかに飛んでいってしまいました。

6/6 ミ-ティング これからどうする?
母親が飛び去ると雛たちが話し合っています。
「ママは冷たいよね-・・ちゃんと順番を決めておとなしくしていたのに餌はお預けだってよ・・
これからどうする・・・?」

6/8 飛翔訓練
自立訓練の促しです。決して過保護はいたしません。人間社会も見習うべきです。雛たちは
飛翔訓練・餌取り訓練を始めました。訓練の継続、自助努力こそ自立への鍵です。
C君は体力がないのか、甘えているのか一向に自立訓練をしていない。「喝!!」
人間も同じ、能力開発は外圧で伸びるものではない。本人の成長しようとする意志の強さだ。

6/8 餌取り訓練
その気になって見つめれば巣の周りには小さな昆虫が沢山いるようです。狙いを定めて
何かをねらっています。問題意識は眺めると見つめるの差で決まる。

6/8 獲物ゲット
育ちの早いA君は水中の獲物をゲットしていました。母親からの餌の補給はいりません。
伸びざるを得ない環境に身を置くことが成長につながることは人間社会においても同じ。
受け身から能動的に知恵を働かす。自律独立心、大変参考になりました。

6/9 A君の巣立ち
A君巣立ちの瞬間です。おめでとう!!5mほど離れた小枝に留まりました。しかし
不安なのかしばらくしてまた巣の近くに戻ってきました。

6/9 兄貴面
巣の近くは住み心地がいいのでしょう。それでも巣にhが入らず、2羽から少し離れた小枝
に留まり、兄貴面をしてB君、C君を見守っています。

6/10 飛翔伝授
A君はあときどきC君飛翔のコツを教えています。
「飛ぶ時のコツはこうするのだよ・・わかる?やってみるかい・・・」と云っているようです。
C君はA君の羽ばたきを注意深く見つめています。
「やってみせ、言って聞かせてさせて見せ、ほめてやらねば人は動かじ」
山本五十六提督の遺訓が頭をよぎりました。

6/10 親心
母親が戻ってきました。雛たちは声高々に叫んで餌を要求しますが、母親は
「何時までも甘えるんじゃないよ!!」と近づこうとしません・。餌を与えず飛び
去りました。よく観察すると40mほど離れたところにいました。雛の動勢を見守って
いるようです。「親」という字は「立木」の間から「見る」の造りからできている。つかず離れず
愛情を持って見守っています。手前が母親、後方がが雛。

6/10 以心伝心
親の毛繕いを見て雛も毛繕いの練習。親の背を見て子は育つとはこのことか。人間社会も
親、上司・先輩の後ろ姿に無意識の学習が続く。反省されることしきり。

6/10 遠くから見守る親
対岸からの写真距離が離れているのでかろうじて見える。
左端が親、右端が雛この距離約40m

6/15 全員巣立ち
全員巣立ちの時がきました。ひ弱なC君も見事に巣立ち、一番高い小枝に留まり、これからの
生活環境をつぶさに眺めています。よく頑張ったね-・・アッパレ!

6/15 A君自立への旅
一番生育の早かったA君は本当の自立へ旅立ちです。どんな 世界が待っているのだろうか?
期待と不安の交錯した旅立ちでしょう。人間社会の新卒社会人も同じ気持ちであろう。私も60年前に
こんな経験があったのかもしれない。

6/15 初飛行
池面上を自信を持って飛び回るA君の飛翔姿が美しい。健やかにそして幸せに・・・
母親は雛の成長を見届けたのか、いくら探しても見あたらなかった。3月から6月
まで抱卵から巣立ちまで観察できたことに感謝・感謝

6/19 優雅な飛翔
6/16で一区切りがついた観察記録だが、ウオ-キングしているとA君B君?2羽が
思いのまま飛び交っている。C君の姿が見えないのが気がかりだが・・もう少し観察を
続けよう。

6/20 兄弟の絆
巣立ちから3日目、巣立ちした雛は自立はしたものの、夜一人で寝過ごすのは寂しく、不安なの
だろう。3羽とも古巣のねぐらに戻っていた。東日本震災で苦労されている方々が思いやられる。

6/20 情報交換
雛たちの朝の情報交換。昨日の行動経過を話し合っている。
C君「ボクは昨日観音様近くまで探検に行ってきたよ」
日中は自由行動でも朝夕は一緒に集まり揃って話し合っている。兄弟の絆を確かめ
あっている。兄弟愛はいい雰囲気だ。会話なくして絆はあり得ない。

6/20 野外訓練出発
「今日の野外訓練の予定は・・・さて出発するかお先に・・」 A君が最初に飛び立ちました。
B君、C君が見送っています。

6/20 母親の叱責
しばらくすると突然母親が戻ってきました。声高々に叱りつけます。
「何グズグズしているの!A兄ちゃんは先に行ったよ・・さあ訓練 訓練」

6/20 執拗な追い立て
母親の執拗な剣幕に後ろから追い立てられて
「ハイハイわかりました。 行けばいいんでしょ、 ガミガミ言わないでよ!」
B君もC君も飛び立ちました。 ガミガミ言われると反発したくなるのは人間も同じ、
叱ると怒るの区別が難しい。母親は叱っても雛は怒られたと思っている。愛情を持って
叱ればしこりは残らない。人間社会でも同じ。

6/20 野外訓練の場所取り
ひとまず近くの小枝に飛び移り、しばらくして50m程離れた視野の開けた所に3羽とも移りました。

6/20 母親の育成フォロ-
母親(左端)が見守っています。3羽が独力で生活が保持できるのを確かめるまで、
それこそ管前総理が一定のメドをつけるまで云々・・のようにフォロ-していくことでしょう。
アッパレ!!親の育成責任に脱帽です。青サギ一家に幸あれ!! 一連の子育て日記
には多くの学ぶべき点がありました。

6/22 C君のプロフィ-ル
4月頃のひ弱さはすっかり影をひそめ、2ケ月で見事に変身、立派な成鳥となりました。
もう大丈夫でしょう。未熟なものでもその気になれば見事に追いつき追い越せる見本です。
元気をもらいました。

6/22 最終自立への出発
B君、C君が今日の野外活動の予定を話し合っています。もうすぐ出発するでしょう。
A君は見あたりません。恐らく独力で餌取りに専念していることでしょう。一周7.4kmの
広大な池を自由に飛び回る青サギの姿をデジカメで捕捉するのが困難になってきました。
一連の観察記録は青サギ一家を祝福しながら今日で終章としよう。

青サギの仲間
亀のお出迎え


鵜も仲間

早朝練習

2012年2月 青サギの巣その後
青サギの巣はその後どうなっているのか?吹きさらしの愛知池、青サギの巣は強風に
耐えられなかったのか無惨にも崩壊、巣の一部を残して水没していた。

2012年2月 巣の名残
何とも寒々しい光景。巣を支えていた枝がニセアカシアの木とともに冬風に耐えて
春を待っている。 陶芸家河井寛次郎の詩の一節に
「鳥が選んだ枝、枝が待っていた鳥」とある。 果たして今年は?・・・
鳥を私に置き換えてみよう。「私が選んだ妻、妻が待っていた私」 その妻はもういない。

1012年3月 今年の青サギの巣作りは?
昨年の巣の近くに巣を作りかけた様子ですが、鵜と対峙して危険を感じたのでしょう。
どこか場所を変えたらしく飛び交っている姿は見えても営巣は発見できません。

鵜のコロニ-
愛知池は鵜にとって住み心地がよいのか大きなコロニ-を造っています。
木は雪をかぶったように真っ白。愛知池の制空権は鵜に支配されています。
青サギはどこに巣を作ったらいいの?

終わりに
米野木周辺は土地開発が進み、宅地造成が急ピッチで進んでいる。野鳥たちも住みにくくなってきた。
今年はキジの鳴き声が聞けるのだろうか。時代の流れといえば仕方がないが、「これ以上自然を壊すな」
と叫ぶのは青サギばかりでない。ボケ防止にと高年パソコン教室で学習したが、頭も体も使わないと劣化が始まる。耳も遠くなった今更若返りは無理としても現状維持は続けたい。それ以上に心のもちようだ。
サミエルウルマンの青春の詩に
「青春とは人生のある期間を云うのではなく心の様相を言うのだ・・・
年を重ねただけで人は老いない。希望を失う時に初めて老いがくる云々・・・」とある。
健康であること、なにか打ち込めるものをもつことが一人暮らしの幸せの鍵と理解している。
時間はそれぞれの人がそれぞれの速さで走り去っていく・・・。
四国の一人歩き遍路も不便な高知県あたりが残っている。季節のよいときに機会をみて
出かけてみよう。
